ソビエト連邦がひた隠しにした歴史の闇を照らし出す衝撃作!『赤い闇』予告編
ノルウェー人の記者ガレス・ジョーンズ氏の記事と取材をもとにした映画。
権力とマスコミの関わりを正面から取り上げた力作。
1930年代の英国で、元英国首相ロイド・ジョージの外交顧問として働く主人公は、上司の紹介でヒトラーにもインタビューをする事が出来た。
人員整理の対象になるも、スターリンへの紹介状は書いてくれ、ソ連への入国を果たす。
冒頭で主人公の仕事への真摯な取り組みを示す無駄のない描写から始まる。
時期はスターリンの五ヶ年計画の頃。
多大な犠牲を出しつつも、重工業化を果たした、という事は聞きかじった事はあったが、実態は無論知らなかった。
その一端を垣間見せる映画。
上記の本はスターリンの五ヶ年計画の、ウクライナについて取り上げた本。
ウクライナが何故あれほどロシアを毛嫌いするのか不思議だったが、これだけ
豊かな穀倉地帯の富を奪われ、餓死に追い込まれれば当然かもしれないと思える。
主人公の母親の祖国はウクライナらしい。
だからこそあれだけ行動出来たのだろうか。
子どもたちの「寝る所もない、食べ物もない」という歌の深刻さが、主人公を通じて
観客にも訴えかける。
最初の方で不審死をした記者が、新聞王ハーストを動かす設定は見事。
それも主人公の熱意と誠意があってこそ。
作中でウクライナの惨状とだぶらせて紹介されていた。
一番最初の登場人物は主人公ではなくオーウェルだったので、この本も読むべきか。
主人公に責められてソ連との関係を理由に断念させようとしたロイド・ジョージ。
彼は第一次世界大戦で、ドイツがじゃがいもを混ぜ込んだパンを食べている、という
ので「じゃがいもパン精神」といって恐れていた、という人。
ILOの創始者でもある。
彼がそこそこ大物として扱われていて良かった。
当時の英国とヨーロッパの情勢が分かる本。
主人公のガレス・ジョーンズは1935年、30歳になる前に満州国で取材中にソ連に誘拐され遺体として発見されたとの事。
日本とも縁が。
ユーラシア大陸をまたにかけた活躍。
彼の仕事への情熱と、誠実さに敬意を。
彼の本は見つけられなかった。
代わりに彼の最期の地となった満州国について。
ウクライナの惨状は、他人事ではない。
フルタイムで働いて月収14万円の国。
一応民主主義社会で、戦争中でもない。
「ウクライナ人は文句ばかり言う」と語っていたとか。
「若者には貧しくなる自由がある」という竹中平蔵氏のセリフと重なるとは
思わないか?
因みに彼は民間議員というよく分からない地位にいる。
✅ 「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のキャストであるジェームズ・ノートンとピーター・サースガード、そして監督アグニェシュカ・ホランドの3ショットが公開された。
ピュリッツァー賞についても議題に上る。
人間は変わる。
だが記事や写真は残る。
記事も写真も特定の部分について取り上げる。
それについての評価であり、人物についての評価ではない、という事では。
やむを得ないと思う。
歴史やジャーナリズムに興味がある人にはお勧め。
私には面白かった。出来れば多くの人に見て欲しい作品。