富山市議会の不正が発覚し、議員辞職が相次いだ事件についてのドキュメンタリー
映画。
地元のテレビ局の取材が、刑事裁判にまで繋がる疑獄のきっかけだったとは
知らなかった。
テレビ局所属の記者が監督を務める。
この話は、もの凄く「日本的」というか、日本そのものを描いていると思う。
日常が淡々と進み、曲がりなりにも理想やより良い社会を目指したはずの人々が
堕落し、誰も責任を取らず、本来の職責を果たした人だけが何故か負荷を受ける。
この取材の結果である映画作品そのものが、「日本的なるもの」の証左であろうとは
流石に考えもしなかった。
自民党と自治体の癒着、不正を当然のように隠蔽しようとする人々、
書類を煩雑と嫌い、白紙領収書を容認する関係者。
保育士や介護士の賃上げは進まずとも、議員の賃上げの時は「財源」の話は
出てこない現実。
これだけ社会から活力が失われていても、政治や行政の方針や政策に変化が見られない
のは、「大衆」が無関心だからだ、と思っていたが、恐らく違う。
大衆はこの不正、隠蔽社会を容認し、積極的ではないとしても、加担しているのだ。
その方が楽で、居心地がいいのだ。
何も考えず、責任を問われないからだ。
未必の故意、という代物だ。
日本人の意識を変えるのは、難題だ。
夢も希望もない話だが、出来れば見て欲しい。
まずはこの腐った現実の原因を探るために。
絶望せず、諦めず前に進むために。
腐敗した日本社会を、少しでもましなものにするために。
あなたにも、考えて欲しい。
砂沢智史監督、服部寿人プロデューサー『はりぼて』INTERVIEW