チャリエン、マトリックス…名作の裏には必ずスタントウーマンの存在が!映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』予告編
映画俳優の代役、影扱いされるスタントウーマンに焦点を当てた作品。
1910年代の映画黎明期から女性がスタントを行っていたのは初めて知った。
しかも安定した売上を確保し、利益を見込めるようになってからは男性が増えて女性
を製作者、出演者双方から排除していった、という事も知り、どの業界でも同じらし
いと分かった。
映画が好きな人なら楽しい作品。
映画の裏事情を垣間見れるし、厳しいトレーニングに裏打ちされた過酷な現場での
働き、当然のように男性に仕事を奪われる嘆き、常に結果を求められる事への怒り等、
職場について回る問題が取り上げられ、映画製作現場も特別な場所ではない、人がいる
ありきたりの勤務先だという事が分かる。
男性のミスは問題にならないが、女性のミスはしつこくついて回る事。
女性が出来ない時は男性が女装して代わりに出演するが、トレーニングに向き合う気力が沸く事。
危険な現場なので、想像出来ない事はやらない、
出来ない事はみんなの為にはっきり出来ないと言う、
仲間とは安全のために必ず助け合う。
火を使い、ガラスを壊し、車をスピンさせる現場だから、何より仲間への信頼と、
安全を重視し、確保する事の必要性を口を揃えて語っていた。
映像技術が向上している現在でも大変なのに、画像の加工が今ほど出来ない昔は、
出演者の安全確保は大変だったろうと思う。
「スタントマン協会」は、女性の参加は認められなかったので、「スタントウーマン協会」と「黒人スタントマン協会」がほぼ同時期に設立されたというのも、根深い差別を実感させる。
ちなみに「黒人・・・」の方は、女性も設立メンバーだそうだ。
アクション監督の女性の少なさも問題として取り上げられており、女性の門戸は狭い
ようだ。
バーホーベン監督など、男性スタッフの彼女たちの勇敢さを語るコメントもある。
フェミニズムに偏見のある人もいるだろうが、この映画には別段フェミニズムについて熱く語るような場面はない。
アクション映画として楽しめるから、安心して見て欲しい。
好きな事に懸命に努力して取り組む人の姿は、力強く美しい。
疲れている人、悩んでいる、迷っている人、退屈している人、無気力な人、
自信を持てない人、劣等感に苛まれている人、色んな人にとって何か考える、行動する
きっかけになる映画だと思うので、是非見て欲しい。
カッコイイ全ての出演者、関係者に拍手!
出演者兼製作者のミシェル・ロドリゲス主演作品。
この映画もアクション場面で彼女たちは活躍したに違いない。
群衆場面の出演が一番難しいと語っていたから、その辺りが日本映画と米国映画の
迫力の違いになっているのだろう。