ゴリラが野球選手になったら、というお話。
荒唐無稽だが、大真面目に作っている。遊び心もあっていい感じだ。
中国のサーカス団で、ローランドゴリラが野球を覚えていた。
団長の孫の少女は、幼い頃からゴリラに面倒を見てもらっていた。
団長が亡くなり、借金を支払ってサーカス団を存続させるため、物珍しいゴリラを
プロ野球に出場させる、という話が韓国の球団からあり、少女はその話に飛びつく
のだが、という話。
内容については、これ以上は特にない。
大体想像通りに展開する。
ゴリラにプロは難しいよな、とか、少女の葛藤とか、ゴリラ招聘の申出をした韓国の
人は意外といい奴だな、とか、ほのぼのとしんみりが両方あり、起承転結もはっきり
していて、物語として見やすい。
プロ野球につきもののカネの話もふんだんにある。
いわゆる「おきれいな」話にはなっていない。
基本的にコメディとしての安心感があり、野球映画にもなっていると思う。
野球が好きな人には不愉快かもしれないが。
これは少女を気に掛ける高齢のローランドゴリラの物語なのだ。
人間は添え物。こんな話があってもいいと思う。
カネの話を扱った野球映画。しんみり出来る。
優しい親が役に取り込まれておかしくなってしまった。
それを取り戻す話。親でありながら親とはいえない親を、子ども視点で。
異形が異形で亡くなった時、特徴もまた失せて、凡俗になってしまうのか。
平凡である事の価値と意味。