アガサ・クリスティーの代表作の映画化。
有名な原作だが、私は読んだ事がなかった。
以外と多いのではないかと思う。
名探偵ポワロが帰国するために知人に頼んでオリエント急行の席を確保する。
その帰路で事件が起こる。
彼が乗車してから下車するまでの間に事件を解決する話。
休暇中のポワロは事件が起きても捜査には気乗り薄だが、
知人のオーナー筋の依頼で事件捜査を引き受ける。
曰く「地元の警察に任せたら黒人の医者が犯人扱いされて処刑されて終わりだぞ」。
彼は差別意識の少ない良心的なボンボンなのかもしれない。
当時世情をにぎわした有名な事件、
「リンドバーグの息子の誘拐事件」がモチーフになっていた。
飛行記録を持ち、輝かしい人生を送る有名人のリンドバーグが幸せな結婚
をして授かった息子が誘拐され、挙句殺され、家族崩壊に繋がった事件。
映画では事件捜査の過程で濡れ衣を着せられて自殺した女性、
その後真犯人が見つかり、誤認逮捕によりキャリアを断たれた検事、
一つの事件で幅広い人物に影響が及ぶという事実を上手く話に織り込み、
加害者像を築き上げていく手腕は見事。
ケネス・ブラナーはポワロにはあまり合っていないように思えたが、
これはこれでいいとも思える。
名優と言われるだけはある。
鉄道を走らせる映像は、実際に走っているように見えたし、当時の調度や衣装も
良かった。
事件捜査を依頼した彼は、あの結末に従うのかが気になった。
鉄道が現場にされたわけで、後始末は大変だし、印象も悪くなるのでは。
何度も映像化されている作品を何故また映画にするのかと思っていたが、
これは新作を作った意義があったように思う。
有名人が関与する事件の捜査は何故歪んでしまうのか。
名声を求める捜査当局の焦りが冤罪を生む。
面白いのでお勧め。