マロナの幻想的な物語り


映画『マロナの幻想的な物語り』予告編

 

エロスと暴力渦巻く社会に疲れて「萌え」とは無縁そうなアニメを見る事にした。

多分、正解だった。

 

子犬の目から見た人間社会を幻想的、幻惑的に描写している。

飼い主になった人間の顔ははっきり、それ以外の人の顔はなかったり、ぼやかしたり。

変化していく背景も、見知らぬ地で迷子になる感じが出ていて、子犬になった気分を

味わえた。

 

茶色の毛の犬らしいが、画面では黒い犬にしか見えないのが難点か。

一貫して可愛い犬だが、最後は成犬になっていたはずで、大きくなったのか分かり

にくかった。

 

人間の都合で野良犬になった結果、人の顔色を見て判断し、相手に拒否される前に

飼い主の家を出ていき、二度と戻らない。

屋内で粗相もしないらしい、できた犬だ。

ろくに接点のないはずの父親についての説明が傑作だった。

 

人間の身勝手さが、犬のいたいけさと相まって、「物語」性を高めていると思う。

 

見る人の年齢によって受ける印象は変わると思うので、色んな人に見て欲しい。

最後の選択をした理由はよくわからなかったが、疲れてしまったのかと私は思った。

 


マロナの幻想的な物語り アンカ・ダミアン監督インタビュー