国葬


映画『国葬』予告編

 

ソ連の独裁者スターリン国葬を題材にした映画。

あくまで記録映像の再構成なので、スターリンの死亡時の内幕等は描かれない。

当時の人々の反応に焦点が当たっている。

 

スターリンの事は予備知識として多数の自国民を他愛無い理由で殺害した人間だと

思って映画を見たので、当時のソ連の人々が素朴に悲しんでいるらしいのが意外

だった。

逆にようやく独裁者が死んでホッとしている、または喜びを隠せない人がいるのでは

ないかと想像していた。

顔を隠している人はいたが、喜んでいる人などいなかった。

虚脱状態の人もいなかった。

 

素晴らしい指導者の死を悼んでいる人々に見えた。

 

これは情報統制が行き届いているからか、洗脳されているからか、鈍感に、盲目的に

過ごしているからか。

 

理由は分からないが、隣人に不幸があっても、身内が理不尽な死を迎えても、

慣れてしまうのだろうと思った。

それこそが恐ろしい事だ。

 

フルシチョフスターリンの死後正常化に取り組んだ事でスターリンの行いは

ある程度周知される事になったが、当時の人はどう思ったのか。

驚いたのか、怒ったのか、嘆き悲しんだのか。

あるいは、ただ受け入れただけなのか。

 

現在の日本は法治主義、民主主義が危うい状態だが、正常化出来るのか。

 

国葬だが、スターリンの葬儀なので、弔辞を述べたのは側近の3人だった。

マレンコフ、ベリヤ、モロトフ

この内、ベリヤはすぐ排除された。


『スターリンの葬送狂騒曲』冒頭映像

 

内幕はこの映画である程度分かる。

赤軍の英雄がカッコよかった。

 

 

 

ベリヤは危険人物だと思うので、彼が排除されてソ連の人々にとって良かったと思う。

 

tanosiieiga.hatenablog.com

 スターリンの五ヶ年計画でのウクライナ問題について取り上げた映画。

力作なので是非見て欲しい。

 

スターリン大元帥だった事は知らなかった。

彼は宗教を弾圧したそうだが、葬儀の時はやはり既存の宗教に則ったものだったの

だろうか。

 

権力の永劫化のために、自身を神格化したスターリンも、死からは逃げられなかった。

彼は、共産主義に汚点を残した。

暴力的な権力の恐ろしい実例として。

だが、今も自由の名の下に、殺害が行われている。

自己責任の名の下に、同胞の死が許容されている。

それは資本主義の汚点ではないか。

共同体、最低限の生存権は、自由主義・民主主義・社会主義共産主義共同で勝ち

取った数少ない成果ではないかと考えている。

 

格調高い国葬と相まってスターリンの下で殺された沢山の死の凄惨さを見せつける

作品になっていると思う。