青年の再生物語。
御伽草子でもある。
みなしご同然で育ち、犯罪をして「食べてきた」青年が、偶然出会った老婦人の
おかげで自己を獲得し、やり直して行く。
少年期に保護者がいないと、生き抜く術を得られない。
日常の雑事、単純かつ簡単な事でも、見聞きする機会がないと、何も分からない。
だから身を守る事も出来ず、知恵をつける事も出来ず、悪党に利用され、搾取されて
きたのだという過去が窺える主人公。
そんな人間を見捨てず、助力する人。
不思議だったが、後半にその「理由」に該当するであろう人物が登場する事で、
得心した。
何処にでも、いつの時代にもある家族の話だが、変則的な人間関係を用いて、
残酷な現実も、捨てたものではないと思わせてくれる映画だった。
服装の変化で、主人公の置かれた状況や、内心の変化も見せている。
希望の持てない状況だが、これを見て現実に目を向ける契機になったら喜ばしい。
原作もどうぞ。