日本を代表する公害である水俣病について取り上げた映画。
地元の熊本県や水俣市が協力しなかったという事実が日本の実態を示している。
残念な事である。
日本でも知名度のあるジョニー・デップという主演者のおかげで全国公開された。
しかも日本ではなかなか公開が決まらなかったといういわくつき。
過去の話なのにこの了見と思えば、ろくに補償が進んでいないという、現在進行形
の事案だった。
私ももの知らずの一人だった。
水俣病が認定され、解決の方向に曲がりなりにも向かう契機を作った写真家、
ユージン・スミスが主人公。
彼の視点で水俣病の患者認定と補償をチッソに求める現地住民の戦いを描く。
彼は戦時下の日本にも米軍に随行して来た事があるらしく、戦争にも日本にもトラウマ
を抱えているようだ。
それでも訪ねてきた女性に見せられた現地の写真を見て興味を持ち、来日を決める。
借金を抱え、家族とは疎遠で、雑誌「ライフ」の編集長を頼りに仕事を続ける。
熊本では、チッソの社長から招待を受け、口説かれたり、暴行を受けたりしつつ、
悩みながら撮影を続ける。
現地で知り合った肢体不自由な少年にやる気を取り戻したりもした。
だが、日本が嫌になった主人公は編集長に諦めの電話を掛けると、
「素晴らしい写真以外は求めていない」と喝を入れられて、最後までやり遂げる。
こんな事まで米国人のおかげなのかと少し悲しくなった。
最後、補償を求める関係者のリーダーである真田広之の言葉で終える。
「戦えない者たちの為の戦いを続けて行くために」。拍手!
これも企業が原因の公害病。こちらは元気が出るよ。おすすめ。