第一次世界大戦末期。
一進一退の攻防を続けていた頃。
ドイツ軍が戦略的撤退をし、敗走と見て取った英国軍が追走しようとした。
おとりの可能性が高いと英軍はみなしたが、電話線が切られ、通信手段はない。
代わりに伝令として兵士を送ろうと考えた司令部は、二人の兵に命令を下す。
実話の映画化らしい。
戦争映画が省いてきた「臭い」を、想像させようという描写が場面のあちこちに
見られる。
同僚のクリームの話に始まり、いきなり転がる馬の死体。
続いて散見される人の死体。
主人公は死体を触って平然としている。
死体の周りには虫。
ネズミやカラスも。
ネズミは場面展開にも活躍。
善意が仇となり主人公の片割れは死亡。
助け合いなど無意味なのか。
途中に心が通い合う場面も。
故郷は遠くで思うもの。
最後には、主人公も帰りたくなったのだろうか。
サム・メンデス監督が、評価の割りに賞レースに縁がないのは、
「ロマン」がないからだと思う。
今作も、ヒロイズムも、甘さもなく、ひたすら厳しい現実を淡々と描写するのみ。
これでは、成功した高齢者が多いと評判のアカデミー賞関係者は興ざめ。
彼等が喜ぶ作品を作らないと、今後も受賞はならないだろう。
『1917 命をかけた伝令』サム・メンデス監督単独インタビュー「作品の規模を恐れない」
戦争をやたら美化している人にこそ見てもらいたい。
歴史上の有名人は出ない。
https://yaruo.fandom.com/wiki/やる夫で学ぶ第一次世界大戦
日本語で読めるものではこれ以上の作品は寡聞にして知らない。
この映画で第一次世界大戦や当時の世情、歴史等に関心を持った人は
是非読んでもらいたい。
力作!