有名な学者カールマルクスの末娘が主人公。
私は初耳だった。
カールマルクスの葬儀から始まる。
恐らく喪主のようなものを務めているのだろう。
女性なのに珍しいと思って見ていたが、彼女は娘でどうも親元にいるらしいので、
それでだろうかと納得した。
彼女の視点を通して、社会主義運動の置かれた状況は何となく見えてくるのだが、
彼女の生計手段は良く分からない。
恋人はあまり当てには出来ない様だし。
エンゲルスを当てにしているのかと思ったが、そんなつもりはなさそうだ。
下世話な想像はさておき、彼女は活発に活動する。
工場での過酷な勤務状況に怒り解決策を訴え、貧民窟での暮らしを垣間見たり、
原稿執筆や、演説も行う。
最終的には、蔑ろにされた女性の権利運動にも参加する。
彼女は、カールマルクスの娘としての知名度を活用し、社会の改善の為に懸命に
働いた。
マルクスの娘である事の理不尽さにも屈せず、立ち向かった。
マルクスも、家庭内ではただの家父長制に馴染んだ男に過ぎなかったのが知れる。
それでも、マルクスの娘である利点も確かにあった。
だが、それも最後には、強力な男尊女卑によって、個人の努力、理性、誠意、知性
などは、容易く打ち崩される程度のものでしかない事が突きつけられる。
彼女は、あれで良かったのか。
あの結末しか選べなかったのか。
彼女には、理解者も、助言してくれる友も、助けてくれる家族もいたのに。
それでも、望んだ者を手に入れられたのなら、悔いはなかったのかもしれない。
本人にしか分からないから、彼女自身にとってはましな決断だったのだと考える
事しか出来ない。
私には、対象物を切り捨てれば済む事にしか見えなかったが。
最後に、彼女の好きな言葉で閉めたいと思う。
「前へ進め!」
なかなか評価の高い映画。
「人権」獲得の為の戦いの記録。必見。