公開時に見損ねた映画。
想像していたよりも単純かつ惨い話だった。
主人公は保釈中で母の家に住む事になり、叔母の紹介で仕事先を確保した。
社長は義理の叔父で、技術者になる事を勧められるも、友人と同じ道を選ぶ。
2年の勉強が嫌らしい。学費や生活費の世話もしてくれる、という有り難い話なのに。
勉強が嫌いなのか。
友人は役所関係での入札を有利に進めるため、賄賂も辞さない交渉担当だった。
主人公はそばでそれを見る。
そして、友人はある日競業他社の車両を傷つけるという行動に出るのだが、という話。
大口顧客獲得の為の不正を当然視するニューヨーク市の暗部を描いた映画。
主人公も不正を受け入れていた。
自身が殺人犯にされなければ、黙って傍観していただろう。
殺人によって崩れていく関係と均衡。
銃社会とされる米国でもやはり殺人は大罪らしい。
日本の腐敗した官憲は殺人を禁忌として認識しているのか、不安になった。
この映画では、賄賂が常態化した市当局も、社長も、殺人だけはもみ消せないと
何度も話、場面としても挿入していた。
日本のドラマや映画より殺人の禁忌さを強調していたように見えた。
最後の主人公の台詞も、白々しかった。
だが、たとえ模範解答に過ぎないものであっても、きっかけが殺人の罪を着せられ
そうになったからであったとしても、結果的に不正が正され、社会が少しでも健全に、生きやすいものに出来ればいいと思う。
「私は罪を犯しました。不正を正す以外の事は考えていません。
私の願いは、真面目な人間としてやり直す事だけです。」
社会の根底にある差別。皮肉が効いて、痛快。