ザ・ユナイテッド・ステイツVS.ビリー・ホリデイ


www.youtube.com

 

伝説的歌手ビリー・ホリデイが題材の映画。

「奇妙な果実」は知らなかった。

 

公民権運動がまだこれからの1947年、ビリー・ホリデイは「奇妙な果実」を歌う。

この果実が意味するものは、すぐに分かる。

歌う勇気のある人は、彼女くらいしかいなかったのだろう。

 

彼女の活動を封じるべく、警察は麻薬を使う。

彼女は10歳でレイプされ、成功してからも、傷みを忘れるため、麻薬を手放せなかったのだ。

彼女の弱みを見付けるため、警察は男性を近づけるが・・・、という話。

 

第二次世界大戦後、「赤狩り」に明け暮れた時期、一人の歌手を嵌める為に麻薬取締局が動き回っていたとは知らなかった。

いくら目障りな女性の黒人歌手とはいえ、たかだか歌手一人を潰す為にここまでするとは。

それだけ歌や娯楽の力、影響力を理解していた、という事なのだろう。

 

彼女の歌を聞いて思ったのだが、彼女の曲は暴力を連想させる歌詞が多い。

「殴られても私の勝手」「財産を奪われても、最後の銅貨?を奪われても私の勝手」

等、男性の暴力を前提とする歌詞が多い。

日本の歌はもっと婉曲表現、拘束を連想させるものが多い。

文化の違いか?

ビリー・ホリデイの曲を聞くと暴力について考える機会を持つような気はする。

 

彼女の「夫」が役人に抱き込まれるのを見ると、権力におもねる男性、女性を搾取する

男性、支配システムの問題が分かりやすく提示されていた。

 

彼女は母親と和解出来たのだろうか。

 

この映画で知ったのだが、

1937年に初めて上院で黒人へのリンチを禁ずる法律が審議入り、成立せず。

2020年に再度審議入り、上院、下院で可決。

大統領が署名したのかは不明。

長い間リンチが容認されてきた事実にゾッとさせられる。

 

1937年は、戦争で人を確保する為の法律だとして、2020年は、「black lives matter」の影響だろう。直ぐに思い出せず、失礼した。

リンチの規制がまだこれからだとは、この映画で一番ゾッとさせられた事実だった。

 

米国は恐ろしい国だが、娯楽作品でこれらの重い題材が取り上げられるところは、米国の素晴らしい部分だと思う。

日本のようにデマの混ざった「フクシマ」の映画を作るような真似はしないだろうから。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

 

tanosiieiga.hatenablog.com

女性の権利の為に戦った人。

 

tanosiieiga.hatenablog.com

ベトナム反戦運動

 

しかし米国のこの強烈な「イデオロギー」の強さは何処から来るのだろうか。

彼らの恐れる「アカ」とは一体何だ?

ソ連は無くなり、次は中国?

米国の覇権が揺らいでも、攻められる事まで想定しなくていい状態だろうに。

彼等のあくなき攻勢は、何を目指し、何を求めてのものだろうか。