掘り出し物だった。
機械化された現在は、戦場に人が赴く事も減り、ドローン等による一方的な攻撃が
行われるようになった。
つまり大国の兵士は安全に、戦場にされる現地住民はいつ自分の近くで爆撃が起こる
か予想できないようになったのだ。
この映画はドローン等による一方的な攻撃を題材にした映画。
娯楽作品としても緊張感があって面白い。
米英両国の兵士が核ミサイル攻撃を実行する。
米国の基地から、指名手配犯のいるアフリカの友好国に核攻撃をするのだ。
指名手配犯が三人揃い、しかも自爆攻撃の準備もしている。
これはうってつけの機会と判断して攻撃を推し進めるが、近所に住む少女が路上で
パンを売り始めて攻撃をするか否か政府高官は頭を悩ます、という話。
この映画では米国は好戦的、英国は理性的だったが、米国は気楽にドローン攻撃を
しているようなので、妥当な描写だろう。
交戦国でもないのに、一方的に攻撃を容認されている異常さも、当事者の現地住民だけ
が何も知らないという現実も、機械化された基地と昔ながらの生活を営む当事者にされた人々の明白な差異も、残酷に突きつける。
最後に理性的な批判を続けた女性への軍高官からの攻撃が行われるが、彼の批判は
筋違いのように思えたが、彼の主張を最もだと思う人もいるだろう。
私には判断はつかない。
ただ、この攻撃自体が許容されるべきではないとは思っている。
最後に、作品内での法務担当が上官を諫めた場面での台詞
「法律は、貴方の敵ではありません。貴方を含めた、全ての人間を守るためのものです。妨害しているように思える法律によって、貴方も守られているのです。」
これはいい言葉だと思う。
法治主義を蔑ろにしてきた元首相を国葬にしようとしている本邦の政府一同に聞かせたい。
意味は分からないだろうが。
分かっても強行するか。
英米は恐ろしい国だが、まともな国でもある。
内側に批判する人々がいて、創作も活発に行われている。
本邦とは違う。
戦争を美化している人にも、批判している人も、関心のない人も、見て欲しい。
貴方もいつ当事者になるか分からないのだから。
機体操縦とは無縁の「パイロット」を見た後はカッコイイ戦闘機が出る映画。
記録の捏造・改竄に興味のある人は是非見て欲しい。
戦争とは?を考えさせられる映画。