堕落した銀行による犯罪と隠蔽工作を主題にした映画。
取り上げただけで凄い。
銀行による犯罪と言えば資金洗浄が頭に浮かぶが、これは兵器の密売で稼ぐ話。
もっと踏み込んで、「借金」自体が目的だと提示していた。
銀行の疑惑を追う捜査官である主人公は、ようやく見つけた証人と会い、証拠を
確保しようとした矢先、証人は不審死を遂げる。
しかもそれは何度も続いており、証人だけでなくその家族や、捜査員の不審死も
続いていた。
しかも捜査が核心に近づくと必ず犠牲者が発生し、しかも捜査は中止させられるのだ。
主人公も逮捕権のない捜査官だ。
各国の捜査官に情報提供して働き掛けるしか出来ない。
そんな矢先、疑惑の銀行代表を逮捕出来そうな事案が発生した。
あろうことか、現地の当局トップによって調書が書き換えられ、逮捕は不可能に。
主人公や仲間の捜査が行き詰まるのは、銀行の商売を各国政府が容認しているから。
その事を理解しつつも、自分の出来る事に懸命に取り組む捜査官たち。
そんな中、兵器会社の社長の殺害の実行犯が口封じされる事態の発生により、
銀行とその関係者が動き出し、主人公も突破口を見出すべく必死で関係者に挑む
のだが、という話。
この映画は世界的に紛争が何故無くならないのかを描いたのだと思う。
次から次へと人が殺されるが、戦争を金儲けにしようという人達だから、人命軽視は
当然で、関係者が死ぬのは自業自得でも、真面目な捜査官や巻き込まれた人々の死は
理不尽で、この映画は理不尽な死とは何かを突きつける作品になっていると思った。
反戦を「お花畑」だと嘲笑う人に是非見て欲しい。
彼らの商売は、無責任な冷笑によって維持されているのだ。
無関係な人間などいない。
銀行口座を持ち、銀行の決済制度を利用して生活している人は、全て当事者だと言える
からだ。
今時の「戦場」。
戦争で稼ぐ具体的な方法論。
戦争で稼ぐ人間の動機らしきもの。