ウェイバック 脱出6500㎞


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第二次世界大戦の頃、ソ連の収容所から逃げ出す「政治犯」の話。

いわゆる議員やその周辺にいる人間ではなく、無名の人々だ。

 

主人公はポーランド人で、彼はソ連支配下ポーランドでスパイ容疑で逮捕された。

妻の「証言」が原因だが、彼女も拷問され、作られた話を暗唱して「証言」したに

過ぎない。

 

戦時下では、このような立場の人や事件が大量に生産される。

主人公と同じ収容所に入れられた人も、基本的に真面目な一般人である。

刑事犯も混じっているが、主人公には忠実だった。

 

吹雪の中、国境を越えて帰還を目指す、という物語なので、追っ手の描写があるかと

思ったが、意外となかった。

途中少女と遭遇するが、人と出会うのはそれくらいで、割と平穏だった。

無論雪山を越える、という話なので危険は付き物だが、仲間のいがみ合いも裏切りも

なく、結構な人間賛歌になっていた。

 

少女の人生も過酷そのものだが、革命の熱に裏切られたとは言い切れない。

親を亡くした子どもの不遇はいつの時代も変わらないし、詐欺や宗教に騙されて苦労

する話も珍しい事ではない。

権力の厄介さを突きつけられる事案である事は間違いない。

 

取り敢えず、国境線を越える、という目的を達した一行がその後どうなったのかは

分からない。

ただ、主人公はポーランドに帰還出来たようだ。

それがいつの年代かは分からない。

見た人の印象でいいような気がする。

 

過酷な旅だが、山脈を背景にした風景は素晴らしい。

暴力も少ないので、年代を問わず見られる。

一度は見る事をお薦めする。

 

 

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米軍の収容所。

 

 

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革命家が称賛するのは何故マルクスなのか?

 

 

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政治犯」への扱い。おとぎ話でもある。